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油圧ディスクブレーキのメンテナンス

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 油圧ディスクブレーキの修理/MTB・クロスバイクなど ▲Top

JamisDakarExpress100725
JAIMISのダカール・エクスプレス
DiskB_RearJamis
2000年のJAMIS DakarExpress
の後輪の油圧ディスクブレーキ

 自転車で使われている主なブレーキは、リムをゴム製のブレーキシューで挟むキャリパーブレーキ、フロントフォーのステーに取り付けて横方向からワイヤーをひ引くVブレーキ、同じく左右のアームを上方向に引くカンティブレーキ、リヤには、内部のドラムをベルトで引き締める「バンドブレーキ」、内部のライニングをカムで広げドラムに押し付ける「サーボブレーキ」、内部のローラーをカムで広げドラウに押し付け制動させる「ローラーブレーキ」があります。
 ほかに最近普及して来た『ディスクブレーキ』がありますが、ワイヤーでキャリパーのカムレバーでピストンを押し出し制動する『メカニカルディスクブレーキ』とワイヤーの代わりに耐圧ホースでブレーキ液を押し出す『油圧式ディスクブレーキ』があります。ワイヤー式は整備がしやすく構造がカンタンなので、比較的お手頃価格の自転車に普及しています。

JamisLeverArea
レバーホルダー一体型の
油圧シリンダー

  油圧方式はキャリパー内のピストンを押し出してローターを挟んで制動させるのです。ここで使われるブレーキ液は、レバー側にあるマスターシリンダーから圧縮されても体積が殆ど変わらない「ブレーキフリュード」を耐圧ホースを経てフォーク下部に取り付けられたキャリパーにを圧送し、押し出されたピストンでディスクを挟む構造になっています。キャリパーのプレーキパッドを作動させるためにワイヤーではなく、液体(フリュード)なのが、取っ付きにくい所があります。 自動車・オートバイの修理で耳にする「エアー抜き」や空気がライン内に入り圧力を掛けるとゴムボールの様に体積が減り利きが悪くなる「スポンジー」という用語もこの油圧ディスクでよく使われる言葉です。

ブレーキフリュードの購入  トップへ

BreakeFluideLC
選ぶときは必ずJIS規格品!!

 上の自転車の画像の2000年頃のジェイミス Dakar Expressには、ヘイズの油圧ディスクブレーキが装着されています。黎明期のディスクブレーキ仕様なので、現在と違ってホーイルは重く車重もあります。手入れが悪かったのか、フリュードが漏れたようで徐々にブレーキが甘くなり、フロントブレーキの効きが非常に悪くなり危険なレベルまでになってしまいました。  最初はリア重点にブレーキを掛けていましたが制動距離が伸びて危険な状態になり、危険なために使用を中止していました。

HayseDIskB_Maintenance
フリュード交換のイメージ図(拡大可)

 この時のハンドルのブレーキレバーの握りしろは、一杯握るとレバーグリップに近くなりグリップに付く様になってしまいました。
当然こんな状態ですので、ブレーキ制動が殆ど効かなくなってしまいました。  修理しないとこの自転車には、危険で乗れません。自転車チェーン店に問い合わせると1ヶ所8,000円〜という返答でした。

DIYで低価格に修理

 修理を前側と後側をした場合、合計で16,000円?になるのかぁ?少し金額を足せばオートライト付きのママチャリが買える値段です。これは古い自転車にかける金額ではないと思い、DIYを検討しようと材料・道具などの調べてみました。油圧ディスクブレーキに使われているブレーキフリュードは、0.5Lの物で1,300円〜1900円前後で販売されています。しかし、さらに低価格のJIS規格のもの(右上写真)を見つけましたのでこちらを使用する事にしました。結局、費用は、その他にシリンジ600円程度、シリコンチューブなどで計2,000円程度で揃いました。当然フリュードは使い切れませんので、数回使える量があります。

ブレーキフリュード交換の必要工具  トップへ

BF_MendingTools NippleToolsSpana
交換・充填に必要な用品と工具ですが、年式によってニップルのナットサイズが違う様で要確認です。

 ブレーキフリュードを入れ替えするのには、専用道具が必要です。分解・入れ替えするための工具・用品は上の写真にありますが、写真に写っていないレバーを外すためのアーレンキー、キャリパーのニップルを弛めるスパナ(この型では8mm)、写真にはミドリのチューブがありますが、シリコン6mmチューブ、ニップルに固定するための100mmタイラップ、シリンジ(注射器)600円程度、廃油受けのペットボトル、固定するためのマスキングテープ(キレイに剥がせます)などが必要です。レバーにあるドレン蓋のネジは小さく#1のドライバーも必要です。

ヘイズ油圧ディスクブレーキの構造 トップへ

おおまかな作業手順  トップへ

1.シリンダーレバーをハンドルから外す
2.ドレインホールを上向でFフォークに垂直に固定
3.ブレーキキャリパーニップルにチューブ接続し、タイラップでチューブ固定
4.シリンダーレバーのドレインパイプを接続し廃油受け設置
5.シリンダーレバーのドレインボルトを外す
6.ニップルを緩め、フリュードをシリンジで圧送
7.ドレインボルトからフリュードに混じった気泡を排出する
8.泡が出切ったらキャリパーニップルを閉める
9.シリンダーレバーのドレインボルトを閉める
10.ブレーキの作動状態を確認し、試し走行で効き具合を確認

作業準備/シリンダーレバーを外す  トップへ


油圧シリンダーが内蔵されているブレーキレバーのビスを外します。2本のボルトでパーツが取れるのでラクです。

 シリンダーレバー内に空気が残らないよう垂直固定するために、シリンダーレバー本体をハンドルから取り外します。アーレンキー(六角レンチ)を使って、ブレーキレバーをハンドルから外します。 ヘキサ(六角)ネジを弛めると、ホルダーが分離します。

作業準備/シリンダーレバーの固定  トップへ

 下準備として廃油受けの設置、シリンダーレバーの固定(レバー端を上)を行います。
 ここで各パーツを固定するのに、接着力が強く跡が残りにくいマスキングテープ24mm幅を使います。
 取り外したシリンダーレバーにはドレインボルトが見えますので、このネジを上になるように固定します。テープのみですと安定性が良くないので、今回は余っていたハンドルにレバーをネジ止めしてフロントフォークにマスキングテープで固定しました。そしてその下には廃油受け(ペットボトルの方がネジ締めで保管可)をマスキングテープで固定します。

DiskB_F_DrainCup DiskB_LeverDrainBolt
レバー橋を上に向けてフロントサスに固定します。24mm程度のマスキングテープでしっかり固定します。

 ドレインボルトから排出するには、パイプを付けないとダラダラ垂れますのでネジと同じ太さのオイルスプレー等のエクステンションチューブをカットして差し込みます。これに4mm程度のシリコンチューブを差し込んで廃油受けに入れます。


左上の写真がドレインパイプを繋げた写真で、排出されたフリュードはペットボトルへ向います。

 シリンジ(今回は60cc)に6mmのシリコンチューブを差し込んで、シリコンチューブに100mmのロックタイを仮止めします。ブレーキフリュードの缶から抜き取ります。パイプ内の気泡を抜きます。
 ディスクキャリパーのニップルの蓋を開け、ここにシリコンチューブを差し込み、タイラップで絞めつけます。

ブレーキフリュードを注入  トップへ

 泡が出なくなる迄、フリュードを圧入します

NewFiudeIN
レバーからのパイプを廃油受けに入れ、受けをフロントフォークにテープで固定します。
ニップルを緩めキャリパー側から圧送します。

 ディスクキャリパーにシリンジが繋がった状態で押しながら、泡の出方を確認しスパナ(メガネ)を回す用意をしておきます。シリンジを押し込むとレバーのドレイン穴からフリュードが排出されます。泡が出終わったらドレイン穴から空気を吸込む場合があるので、すぐにキャリパーのニップルを閉めます。
 すぐにレバーシリンダーのドレインの小さなネジを締めます。シリンダーレバーを外して、ハンドルへ戻し固定します。リア側も確認して、異常がある場合にはついでに修理をします。


(画像は取り外しと同じです)

 装着後にレバーの握り具合を確認します。念のために何回も握って変化を確認します。注油量が少ない場合や、レバーを外さずにハンドルに付けたまま作業をすると、レバー内のリザーブタンク内に空気が残っていて、最初は良くても完全に抜けてしまいブレーキが全く作動しない場合があります。シリンダーレバーは必ずハンドルから外し、ドレインボルト側を上に向けて固定するようにすると失敗は少ないです。
ブレーキ類の修理は、必ず修理後の試し走行が必要です。出来れば、さらに安全運転で長い距離を試し走行し、異常がないかを確認する事をオススメします。  

【注意事項】
ハンドルのレバーシリンダーを取り付けたままの作業ですと、空気を吸込みやすくなります。この結果フリュードが一杯に入ったつもりでも走っているとレバーがスカスカになってしまいます。出来れば記事にあるように、レバーシリンダーのドレンボルト側を、上に向けて固定すればしっかり泡をスムーズに排出でき、フリュードを注入する事が出来ました。
余っているハンドルがあれば、そこにレバーシリンダーをネジ止めしフォークに固定するのがベストです。無ければレバーはブラブラ状態ではなく前はフロントフォークに、しっかり付いて綺麗に剥がせる24mmのマスキングテープで固定する事をオススメいたします。

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