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底付きしたフロントサスの修理/DudyXC

 旧車のフロントサスの修理      ▲top

FSM_Bottomed
2000年以前のROCKSHOX DUDY XC

 この自転車は販売が2000年位に製造されたMERIDA DOMINATORです。当時はフロントサス+リジットタイプが多い中、この自転車はフルサスペンションのバイクで前にはROCKSHOXのJUDY XCが付いていました。フロントサスペンションの緩衝部品は、コイルスプリングだけだと思っていました。サスペンション付きマウンテンバイクは黎明期であったせいか、緩衝素材の試行錯誤が行われいたようで、MPUエラストマー材として使われていました。MPUエラストマーは、発砲ウレタンのような素材です。これがプラスチックの連結用のコマでいくつも繋がれていて路面の凹凸を素材が吸収してくれました。当時は乗り心地が非常に良かったのですが、かなり位長い期間が経っていたのでMPUエラストマーが経年劣化で弾力がなくなってしまっていました。
 話は変わりますがフルサスの運転で気を付けなければいけないのが、パニックブレーキなどのフロントブレーキのかけすぎです。重心が前に移動したことで、リアサスの負荷が減り圧縮されていたバネが伸び、場合によってはジャックナイフや前転してしまうこともあります。黎明期はロック機構やアンチノーズダイブ機構はありませんでした。フルサスMTBのフロントサスペンションは一般舗装路しか走らないのであれば、深いストロークはあまり必要ありません。このウレタンのわずかな縮みと太いタイヤのクッションで十分ではないかと思います。
 一時はフロントサスペンションの交換も考えた時期がありましたが、WEBサイトでこの素材を使った修理を拝見いたしましたので、修理を実践してみることにしました。

FSM_TopCapOff FSM_ForkDust
フロントサスの状態を見るために、トップキャップを開けて中を確認した時の写真で土状のゴミが詰まっていました。

  ROCKSHOX DUDY XC初期型の修理  ▲top

ElastmerIllust
正常な状態のエラストマーブロック

 以前フロントサスペンションに異常を感じた時にトップスクリューを外したことがありました。その時はまだ内部のエラストマーがプラスチックパーツの上下にあるピンで繋がれていました。これが正常な時に全部で17cmくらいだったでしょうか?その時からもしかしたら10年経っていたかもしれません。
 そのうちにFサスごと交換しようといろいろ探していました。しかし、Vブレーキ仕様でコラム長の制限、取り外した大きな部品の廃棄等を考えると、購入は慎重であることが必要と考えなければいけないと思いました。

ElastmerConnector
ブロックを繋ぐエラストマーコネクター

 自転車自体も20年近くなると代替えパーツが無いことや、廃棄の事を考えると修理の意気込みが薄れています。ふと部品名を検索していると、外国のYOUTUBEでDUDY XCの修理サイトを見つけ修理の流れを知ることができました。しかしこのサイトは後継期型の物で緩衝材には性能の良いスプリングが使われていました。
 こちらでは緩衝部材が違うのを確認し、分解など作業手順はここを参考させていただきました。
 そのほか、同じようなお悩みでJUDY XCの2回目の修理をなさっている方のブログからウレタンの20mm径の物が使える事を教えていただきました。ありがとうございました。

修理に必要な物▲top

FSM_Urethane FSM_Tools
部品はウレタン棒20φの200mmです。細目ノコはウレタン棒カット時に使用で押し出し棒は傘のグラスファイバー骨。

 この溶けて土の様に変わり果てたエラストマーを取り出して、上の写真のウレタンの棒をエラストマーの代わりに使います。そのほかは5mmのアーレンキー(六角レンチ)とこの初代のROCKSHOX JUDY XCのフォークキャップは24mmのナットではなく、円形の樹脂にギザギザが付いたものなので、顎が大きく開く大きめのロッキングプライヤーや、ウォータープライヤーなどがあると開け易いと思います。

MeltedElastmer
変わり果てたエラストマー

 また体重で圧縮されてカチカチになって土の様に変わり果てた、エラストマーをほじくり出すのに傘の分解廃棄で出たグラスファイバーの長い棒が役に立ちました。
 いくら突っついてもエラストマーが圧縮で固まり、詰まって取れなくなってしまっていましたので、電動ドリルに長い10mmのビットを付けてほじくりました。蓋になっていて樹脂の丸いプレートを引っ張り上げることができました。
 サスペン症の役割をする「ウレタン棒」のカットは色々試しましたが、細目ノコ(今回はカッター装着タイプ)がいいようです。  その他、ダンパーは本来の使用はサスペンションオイルなのですが、高価なので同じ粘度5Wの4サイクルエンジンオイルを使ってみました。

  作業準備/サスペンションフォークを車体から外す  ▲top

FSM_AheadOff FSM_AheadTBOff
コラムについているアヘッドステムを外します。ステム外しと固定(調整)ボルトを外します。
FSM_AheadHandleOff
ステムを取り外すと内側にスターファングルナットが見えます。

 前輪のブレーキワイヤーを外しておきます。アーレンキー(六角レンチ)5mmでコラムに付いているアヘッドステム2本を緩めます。次にコラムトップのボルトを緩めて取り外します。両足で前輪を抑えながらハンドルを左右に振って、ハンドルが付いたままのアヘッドステムを抜き取ります。今回はハンドルやケーブル類はぶら下がった状態にしておきますので外す時はワイヤー類に負担がかからないように慎重に行ってください。前輪のクイックリリースレバーを緩めてタイヤを外します。

FSM_FsusOff
車体から抜いたフロントサスペンション
DUDY_XC_HeadSet_BottomB DUDY_XC_DbearingOff
ヘッドセットの下側のベアリングは油切れしていましたので、組み込む前に清掃しグリスアップ。

 この自転車は購入時から約20年近く経っていて、アヘッドステムのメンテナンスは1度も無し。(作業画像はありません)分解してみると、リテーナーとベアリングの間に塵とグリースで固まったと思われる物質が固まっていました。パーツクリーナーも全く効き目がなく、ベアリング球は一つ一つリテーナーから爪で外して清掃しました。リテーナー間にこびり付いた固まった汚れは歯ブラシとパーツクリーナーでほじくるように落とし、綺麗になったら球をはめ込みグリースアップを行いました。これで指で回しても硬球が回る様になりました。

  インナーとアウターフォークを分離する  ▲top

 フロントサスのステムの上とアヘッドステムの下には、スペーサーやベアリング等の部品が入っていますので取り外して保管します。ステアリングのリテーナーは組み込む時に、丁寧に掃除してスムーズに回る様にしておきます(上記述)。
サスペンションのインナーチューブとアウターを分離する方法は、サスペンションのアウターのボトムにある六角ボルトです。分離・分解するには5mmのレンチでを使ってまず、7mm程度緩めます。

DiskB_F_DrainCup FSM_BottomBoff
コラムのベアリングを取り外します。サスフォーク底部のボルトを7mm位緩めます。
FSM_HitBottomBolt FSM_PullOut
サスフォークの出っ張った底部のボルトハンマーで叩くとボトムに固定されていたインナーが外れます。
FSM_Disassembly
分解したROCKSHOX DUDY XC

 7mm程度緩めてあるボルトは、完全に抜かずにボルトを上に向かってハンマーで叩きます。そうすると奥に引っ込みます。この作業をもう片側も行います。こうするとアウターと固定していたインナーチューブが、アウターから離れます。コラム側からインナーを引っ張って緩めたボルトが引っ張られれば分離していますので、左右のボルトを取り外します。この時アウター内部のオイルが吹き出る場合がありますのでご注意。アウターを押さえながらコラムを持ってインナーを引き抜いて分離します。
 作業とは関係がありませんが、だいぶ下ですがインナーの底部の写真で、片側にのみC型ロックリングがついていました。ボトムのインナーシャフトは片側がアルミでした。これがアウターとインナーを繋げている部品になります。

   インナーチューブ内部の清掃      トップへ

FSM_TopCapOffB FSM_TopCapOffRB
左右のサスフォークトップのキャプを緩め外します。

 左右アジャスターボルトを取り外します。このタイプのROCKSHOX DUDY XCはエラストマータイプのせいか、24mmのボルトは使用されていませんので、大きめのロックングプライヤーの開きを大きくしてギザギザのボルトに噛ませてギザギザを舐めないように慎重に回します。黎明期のこのタイプは中に ラストマーとこれらを繋ぐ円盤から上下にピンが出ているもので繋がれています。

ElastmerIllust
正常な状態のエラストマーブロック

 約20年の経年劣化でこのエラストマーは弾力がなくなり、ボロボロになります。さらに時間が経つと乗車時の圧縮でなんと土の様になっていました。これがインナーチューブに溶けた粘土のように固く詰まり、インナーの内側にへばり付いて、エラストマーブロックは以前のように引き抜けなくなっていました。長期間に劣化された素材が圧縮された結果だと思われます。

FSM_InnerP_Crean
積層に詰まった異物は10mmのドリルビットで対応

 これをどうやって除去するか、下の穴から押し出して見たり色々試して見ました。圧縮されたエラストマーと、これを繋ぐ等間隔で入っている樹脂パーツ部分が、インナーチューブの内側に固着して行く手を阻んでいます。他のYOUTUBEでは同じ状況の修理画像がありましたが、これが取れなくて放り出す様に映像がパタッと終わっていました。
 しかしこの異物を除去しないで諦めては、作業が出来ません。下側から突っついても全く動きませんでした。詰まりを強制的に撤去するために、荒療治をすることにしました。

FSM_UrethaneBroken
経年劣化でほじくり出した土状になったエラストマーと部品

 詰まっている物質をどうにかほじくり出せたのは、上端から5cmまででした。変質したエラストマーと等間隔で入っている樹脂部品が固く圧縮され詰まっています。・・・最終手段として、電動ドリルで何層かの樹脂パーツにドリル刃を食い込ませ引っ張り出すことにしました。ドリル刃は手持ちの最大径の10mmの物が1番長く、運良く一番下にある蓋になっていたプラスチックパーツまで取り出すことができました。インナーテュブの内部をのぞいてみると内壁にへばりついて取れなくなっていた円形パーツと「粉々になったエラストマーの成れの果て」が引っかかっていました。これを取り出すことが出来ました。インナーチューブの内壁には、残骸の異物がへばりついていますのでこれもほじくり出します。後はウレタン棒を入れるためにインナーチューブの内側を、パーツクリーナー等でできるだけ清掃します。

   ウレタン棒を加工しインナーチューブに入れます      トップへ

 パーツクリーナーを入れダスターを巻きつけた棒でで内壁を掃除をした後、インナーチューブの内部の状態を確認します。底プレートが問題なく動き収まっていれば、ウレタンチューブを入れる準備をします。この初期型のROCKSHOX DUDY XCはエラストマータイプで長さは約175mmです。両側のインナーチューブに、200mmのウレタン棒を差し込んでみて深さを確認します。ウレタン棒に175mmの印をつけインナーチューブに入ます。サスを伸ばした状態で、トップキャップの厚みを考慮して、左右の入る長さを確認します。インナーチューブ内に異物が残っている場合はきちんとはいりませんので再び除去します。OKでしたら175mm程度の長さにカットします。
 ウレタン棒は以外に素材が硬いです。大きめのカッターで力をいれて押し切ろうとすると、歯が全く入っていきません。次にパイプカッターで歯を押し当てながら回してもこの素材の断裁には無理でした。鉄ノコは歯が細かいので無理でしょう。結果的に大型カッターに装着出来る切り粉の排出が良い、細工用ノコを使う事にしました。この刃は切れ味が良く思ったより早くカットすることが出来ました。

FSM_UrethaneCut FSM_UrethaneIN
大型カッター装着の細工用ノコギリで、すんなりと切れました。この調整したウレタン棒をインナーチューブに仮に入れてみます。

   各部品にグリースを塗り、納めます      トップへ

 摺動部にたっぷりグリースを塗ります。そしてアウターチューブのオイルシール(摺動部)部分も綺麗にして、たっぷりグリスを盛っておきます。インナー下のシャフトは引っ込みやすいので仮にウレタン棒を入れておきトップキャップを締めておきます。グリースを塗ったシャフトとインナーチューブをアウターに静かに入れます。
 アウターにインナーを入れるときに、反対に入れない様に向きに気を付けてください。反対に装着すると、ステム軸に対してフロントサスが車軸が手前にくるので、ハンドル操作に異常を感じます。次に5Wのオイルをシリンジ(注射器の様な物)に吸い込ませ、インナーチューブに入れます。外国のYOUTUBEで見たものはスプリンブタイプのJUDY XCで片側110ccを使っていましたが、ウレタン棒は隙間が全くないので、両側約30cc程度しか入りませんでした。オイルを入れてから棒を入れるときは溢れる恐れ大ですので、必ずフォークの下には受けの容器(汚い受けでスミマセン)が必要です。

FSM_InnerP_Grease FSM_InnerP_GreaseP
アウターチューブに入れる前にインナーとアンダーシャフトにグリースを塗ります。 FSM_InnerP_Under FSM_InnerPin
アンダーシャフトにもグリースを塗り、インナーをアウターに入れます。
FSM_5W_OIL FSM_5W_oilin
ダンパーオイルをシリンジに充填します。ダンパーオイルをシリンジに充填します。

   完成したフロントサスを車体に戻します      トップへ

DUDY_XC_HeadSet_BottomUp
コラム下のベアリングリテーナー

 これから修理したROCKSHOX DUDY XCを、車体に戻しますので各部を清掃します。Fサスのコラムの上下のベアリング・リテーナーを、鋼球と枠をバラバラにして清掃します。長期間のメンテナンスしていない場合は、埃とグリースが泥の様に隙間に固まっています。この固まった異物を、尖ったものでほじくり出します。
 リテーナーにグリスアップし鋼球を嵌め込みます。下に球受けをコラムに先に通し、下のベアリングリテーナーを入れます。フォークをフレームに通し、出てきたコラムの上のリテーナーとヘッドセットを組み込みます。

FSM_AheadHandleOff
Fサスのコラム内のスターファングルナット

 フレーム側にもグリースを充填しセットします。次にコラムにハンドルステムを差し込みアヘッド上部のネジをスターファングルナットにねじ込みます。ガタツキとハンドルの滑らかな曲がりを確認します。締込みが強すぎるとハンドルが曲がりにくくなります。

FSM_CompV
インナーチューブが伸びました。

 また緩すぎるとブレーキング時にフォークが前後にガクガクします。調整に納得ができたら、ステムの2本のボルトを締めて固定します。
 この時ハンドルが曲がる可能性がありますので、少し走ってみて違和感があれば、真っ直ぐになるように調整します。
 修理したフロントサスは長さが回復しかなり車高が戻るので、スタンドの高さ調整が必要です。フロントサス内に縮みにくい硬い素材を使ったために、走行感覚が良くなるのではないかと期待しています。
 残念な所は底付きした状態で長期間過ぎていましたので、フロントサスペンションのダストブーツがつぶれる癖がついてしまいましたところ位でしょうか。

   交換後の乗り心地      トップへ

 さて走行感覚ですがフロントの長さが戻り、水平が取れたためか乗車感覚が良くなりました。フロント材交換の段差を乗り越えた時の乗り心地は、リジットの様な突き上げ感は感じませんでした。インナーチューブと挿入したウレタンの直径差が周囲2mm程度ありますので、衝撃を受けると太くなってわずかでも衝撃吸収効果もあるのでしょう。さらに太いMTBタイヤのW効果で凹凸の乗り越え時の違和感は感じませんでした。
 このウレタン棒使用は、体重の影響でサスが柔らかすぎる方や、ブレーキング時のノーズダイブが嫌と感じる方にも、サイズが合えさえすれば交換も良いかもしれません。

  アウターにインナーを入れるときに、反対に入れない様に向きに気を付けてください。反対に装着すると、ステム軸に対してフロントサスが車軸が手前にくるので、ハンドル操作に異常を感じます。エラストマー使用の旧型のフロントフォークは経年劣化を起こしていて、内容物が溶けてさらに押し潰されてインナーツーブに詰まっていました。取り除き作業に、思ったより時間がかかってしまいました。本来はこのタイプに使えるROCKSHOX DUDY XC専用スプリングが販売されていました。後に様々な新製品が販売されるようになって、メンテナンス部品はだいぶ前に見なくなっていました。この修理はウレタン棒2本とオイルの送料込みの材料費は約¥2,700となりました。新たなフロントサスを交換しなくても、快適に乗車できるようになりました。
 最近はディスクブレキー専用のフォークの発売が殆どなので、新たなホイルなども変えずに廃棄品も出ずにエコな修理ができました。

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